正社員に関わらず勤務している方は、社長代行業なのです。
創業者は、利益を得るために会社を設立し、お客様に高評価を頂くために昼夜問わず体力と知恵をふりしぼり、苦しい時を幾度も経験して来られた。
つまり会社は、創業者の汗と涙の結晶です。その結果、お客様から信用と信頼を頂き、仕事が増えてきて社長の手が回らなくなったから事務員などの従業員を雇用し始めた。
違う例もあるでしょうが、ほとんどのケースが当てはまるでしょう。
つまり「社員は業務遂行上の社長代行業」なのです。社長が評価され会社が認められ仕事が増え、手が回らなくなったから社長がする仕事を替わりにしている人。これが社員です。
社長の替わりを努める人が社員なのですから。身だしなみや電話の対応、お客様との対応、物を大切に、掃除、整理整頓などなどの教育は必要なくなります。出来て当然だからです。ここが肝心なのです。
多くの企業においての社員教育で欠けている事は、心の教育です。心の在り方、ものの見方、捉え方を教育されないと「かたわ」な社員を生みます。
知識・知恵・手法を注入する教育も必要であるが、人としての根底教育が優先されるべきでしょう。
人を想いやる心、人に対するやさしさ、人や物をいたわる心の教育無くして社員教育は成功しないでしょう。心が出来て始めて知識を詰める。
でなければ「上辺取りつくろい型社員」ができあがってしまい管理職になったとしても、心の栄養を部下には与えることができないのです。
心に栄養を与え、心を動かす教育こそ、人の教育であると思っています。
社長は、会社を営みながらその経緯経過の中で、会社の目的やルール、システムを造り上げ、同時に社員に対して社長の仕事に対する考え方やお客様との応対、
売上、経費、日常の行動、言動などを日々口うるさく言われているでしょう。
何故、口うるさく嫌われるほど言わなければいけないのか?それは、社長からみて社員にあらゆる面で不満足を感じるからです。
だから社員教育が必要なのですが、いつも口うるさく言っても「さっぱり・・」と感じる社長が多いのです。
「また始まった」「いつも同じ事ばかり」「とりあえずこの場で聞いていれば」などと無反応さにあきれてしまっているのも事実です。
はっきりしましょう。「君たちは社長代行業なのである。よって、社長が満足できる仕事が出来て代行業が勤まる。だから雇用しているのだ!」と。
「社員に経営者的感覚が欲しい…」と社長が言っているのをよく耳にする。ここが難しい。近づける事は出来ますし、出来ている社員も多くいるでしょう。
しかし多くの場合、社長の仕事に対する厳しい真剣な考え方と社員には埋められない溝が存在しています。
経営者的感覚を育てる前に、会社があって出勤させて頂ける場があること。勤務させて頂いているから自分や家族の生活が成り立ち、その生活の中から人生設計に夢が持てているはず。
これらに「感謝する心」が大変重要なことだということ。いわゆる心の考え方、捉え方です。
社員には、自分は何故社員なのか、自分は何をする人なのか、何をしなければならないのかを教えていかなければ、次のステップにつながる教育にはならないと思います。
ハッキリさせて下さい。社員の存在が何なのか・・。そこに感謝できる「心ある社員」を育成するためにどうしていくのかを。